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お金を生むバイオ企業

お金を生むバイオ企業

By ティーカ・ティワリ

Aaron Loy(アーロン・ロイ)は足を失わなくて済んだはずだ。

 

2013年11月、アーロンがサンタ・バーバラにあるカリフォルニア大学のラクロスチームで1年生選手としてプレイするようになって、7週間が過ぎていた。

 

それから数ヶ月後、アーロンは細菌性髄膜炎にかかった。脳と脊髄組織に炎症が生じたのだ。

 

医師たちは、アーロンの命を救うためには両足を切断するしかないと判断した。

 

悲劇は、ある薬を使えば、両足を切断せずにアーロンの治療が成功する可能性が91%もあったこと。しかも、その薬はすでに存在していた。

 

しかし、その薬を使用するには問題があった。当時のアメリカでは違法だったのだ。

 

それは「Bexsero」というワクチンだった。このワクチンがヨーロッパで承認されたのは2013年1月だが、アメリカで承認されたのは2015年1月になってからだった。あと9ヶ月認可が早ければ、アーロンは足を切断せずに済んだわけだ。

 

「1年前にこのワクチンを入手できていれば、アーロンに接種することができたのです」と語るのは、アーロンの母親のクリステン・ロイさん。

ノロマな官僚主義が、「世界クラスのラクロス選手になりたい」という若者の夢を奪ってしまった。

 

しかし、数万人のアメリカ人をムダに苦しませ、ときには命さえ奪ってきたお役所的な形式主義は、今に始まったことではない。アーロンのケース以前にも、ノロマなFDA(アメリカ食品医薬品局)のせいで、これまでにも数千人のアメリカ人が亡くなっているのだ。

 

たとえば、「インターロイキン‐2」。

 

これはがんの治療薬で、ヨーロッパの9ヶ国では1990年に承認されたが、FDAが承認したのは2年遅れだった。

 

この2年という短いあいだに、3,500人のアメリカ人が亡くなった。命を救うこの治療薬を入手できなかったからだ。

 

FDAの形式主義に殺された例としては、「β遮断薬」もある。この薬には心拍数と血圧を下げ、心臓の負荷を減らす働きがあり、心臓病患者の特効薬として知られている。ヨーロッパでは1975年に使用が承認されたが、アメリカでは1981年まで承認されなかった。

 

FDAの統計によると、β遮断薬は年間1万7,000人のアメリカ人の命を救っているそうだから、この7年間でじつに11万9,000人のアメリカ人が心臓病で亡くなったことになる。FDAがもっと早く行動していれば、これらのアメリカ人は亡くならずに済んだのだ。

 

さらに、FDAの形式主義のせいで多くのアメリカ人が命を落としたもっとも恐ろしい例は、おそらく「ミソプロストール」だろう。

ミソプロストールは、関節炎患者の胃潰瘍の症状を改善する薬だ。フランスでは1998年に承認され、英国では1991年に購入が許可された。ところが、アメリカで承認されたのは2001年になってからだった。

 

「フォーブス」誌は、ミソプロストールの承認を待っているあいだに、年間8,000~1万5,000人のアメリカ人が命を落としたと推定している。合計で10万4,000~19万5,000人のアメリカ人が犠牲になった計算だ。

 

しかし、この状況についに終止符が打たれるかもしれない……。

 

連邦議会において、新たに2つの法案が可決しそうなのだ。これが可決されれば、アメリカにおける形式主義だらけの新薬承認の過程も変わるはずだ。

 

私たちのリサーチでは、この2つの法律が施行されれば、薬剤開発費用が45%削減され、新薬が市場に出るまでにかかる時間が平均78ヶ月からわずか48ヶ月に短縮されるという計算になる。

 

さらに、数万人のアメリカ人の命が救われ、数十億ドルを儲ける製薬会社も出てくるだろう。先見の明を持つ情報通の投資家にとっては、大金を稼ぐ機会になるに違いない。

 

今回は、この法案がこれからどんなふうにメガトレンドを引き起こすのかを見ていこう。

 

そして、投資したら大金を儲けられそうなポジションにいる最高の製薬会社のこともお教えしようと思う。

 

この法案によって最高の結果を出せる状態にあるその製薬会社だ。なぜなら、その会社は現在、ヨーロッパでの承認を待っている薬を5種類も持っており、法案が可決されれば、それらの薬がヨーロッパで承認されてから90日以内にアメリカでも入手できるようになるからだ。

つまり、いつものように数年も遅れることなく、2つの市場で薬を売れるようになるわけだ。

 

でもこれは、このメガトレンドの成功の半分に過ぎない。

 

新しいルールが適用されれば、薬の開発時間とコストが削減されるので、世界でもっとも儲かる製薬市場、つまりアメリカに新たな治療法が雨あられと降ることになるからだ。その結果、利益が爆発的に増え、あなたも株式市場でもっと大きくもっと短時間で稼ぐことができる。

 

このパワフルなトレンドは、株価を牽引しているだけではない。

 

今回お勧めする会社は、巨大な「モート」(卓越した防御力)を持っていて、非常に高いバリューで取引されているのだ。

しかも、その予想株価収益(P/E)率は市場より10.3%低く、同種の株と比べても28.6%低い(詳細は後ほど)。

 

しかし、この状態は長く続かないだろう。遠からず、この会社の株価は少なくとも30%は上昇すると思われる。

 

それどころか、2020年までにさらにリターンが156%まで引き上げられる可能性がある。

 

それでは、何がその株価を引き上げるのかを詳しく見ていこう。

薬事法の「ツインターボ」

FDAが承認した薬が人を殺したり傷つけたりした場合、それは「第一種過誤」と呼ばれる。FDAは第一種過誤のせいで人が亡くなることを恐れている。そんなことになれば新聞の一面沙汰になってしまうからだ。

 

医学界では、アーロン・ロイのような悲劇は「第二種過誤」に分類される。第二種過誤とは、特定の症状や病気の治療において、何らかの成果が見られたにも関わらず、FDAが薬を承認するための行動を起こさなかったことに起因する誤りのことだ。

 

マスコミが第二種過誤による死亡を報じることは滅多にないが、あなたや、あなたの大事な人たちが第二種過誤で死亡する可能性は十分にある。

私たちのリサーチでは、FDAが承認した薬に起因する死亡者数より、承認を遅らせたことに起因する死亡者数のほうがずっと多いからだ。

 

とはいえ、私がこう書いているのは「アメリカ人の安全を守るためだ」と訴えるためではない。

 

私が言いたいのは、FDAが恥ずかしい思いをしたくないからこういうことをしているということだ。それから、官僚や高額の報酬を得ているコンサルタントがラクに大金をもらえる仕事を失いたくないから。

 

しかし、さっき述べたように、2つの新たな法律によって変わろうとしている。

 

ノロマなFDAに対処するための最初の法案は、ヨーロッパで承認済みの薬はすべて90日以内に政府機関による調査を義務付けるという内容だ。

 

このルールがあったら、アーロン・ロイは足を切断せずに済んだだろう。

 

2つ目の法案は、新薬を市場に出す際の遅れの原因となっている規制当局の形式主義の大半を排除するという内容。これが通れば、新薬を市場に出す費用が削減されるため、医学界で次々と新たなブレイクスルーが生まれるだろう。

 

私はこの2つの法律を「薬事法のツインターボ」と呼んでいる。この問題に関わっている企業の株価を急上昇させる要因になるからだ。

 

では、それぞれの法案についてもっと深く掘り下げてみよう。

(中略)

これらの法律が製薬業界に与える影響の大きさについて理解を深めたところで、疑問が湧いてくる。それは、もっとも大きなベネフィットを享受するのはどの企業か? という疑問だ。

 

この法律によって繁栄するのは、すべての製薬会社というわけではない。だから、最高の結果を得られる状態にある企業を見極めることが重要だ。

 

私が見つけたなかで、このトレンドからベネフィットを享受できるもっとも確実で最高のポジションにいる企業は、●●●●●である。

株価上昇ターボを手に入れる企業とは?

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